木曽三川プロジェクト

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南山の家

歯科診療所を併設した住宅である。敷地は比較的交通量の多い南側通りに面しており、間口12m強、奥行き約25mの南北に長い敷地。道路との高低差はmaxで2.5mある緩斜面地である。
長年、中心市街地のRC住宅で暮らしてきた施主は、良好な周辺環境と柔らかく肌触りの良い住まいを求めてこの場所に移り住むことを決断された。

計画の目標は以下のとおりである。

1
緩斜面地である敷地に沿った低層の建物とするが、歯科診療所が併設されることもあり、存在感を持ちながらも、周辺景観の創造に寄与する構えとする。

2

計画の中心は住居である。風通しの良い、柔らかい光で溢れる、肌触りの良い落ち着いた住まいをつくる。
→ 通常コートハウスは光を取り込んだり、プライバシーを保つには有効であるが、最大の弱点は四方を壁で囲まれた中庭は風の通りがよくないとことである。中庭の風が淀むと植栽にもよくない。今回は敷地高低差を利用し、ドライエリアを介して自然に外気が中庭に入り込むよう計画し、この弱点を克服した。

3

スカンジナビアのミッドセンチュリーハウスが好みの施主の要望に如何に応えるか。
→ 私も全くもってこの頃のスカンジナビア住居が大好きだが、如何せん此処はアジアである。しかもこのところ温帯ではなく亜熱帯的気候になりつつある。気候風土は全く異なる。スカンジナビアのミッドセンチュリーハウスの本質を乱暴にも次のように捉えてプロジェクトに臨んだ。「簡素で合理的思考・建設とクラフトの融合・トラディショナルを背景としたモダン」こう捉えれば、彼の地の住居形態やテイストに引きずられることなくアジア型の在来工法もシンクロできると常々考えている。

計画から2年を経て、「南山の家」は無事竣工した。竣工後、施主の計らいで建設に携わっ た職人はじめ建設関係者の多くが、自ら建設したボールト天井のリビングで美味しい料理 とお酒をいただく機会に恵まれ、楽しい会話と共に至福の時間を過ごさせていただいた。
常々建築の良し悪しは、規模や予算では決まらないと自認しているが、この長い期間、我々設計スタッフのみならず、現場監督はじめ関係者全てが緊張感を持ち続け、前向きに取り 組めたプロジェクトという印象が強い。
施主は忙しい中、毎週お茶菓子を持って現場まで足を運ばれ、進捗を楽しみながら監督や職人に声かけをされていたことも記憶に新しい。
思い起こせば、設計段階の基本的打ち合わせ以外は、こまごまとした注文はほとんどないに等しかった。が、「建築は施主につく」ということを再認識したプロジェクトとなった。

設計者 大久手計画工房 佐々木敏彦
木曽三川プロジェクト
SLOWHOUSE

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暮らしを楽しむ家づくり
定価(本体880円+税)

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